【まいにちと花】<br> 長月9月 「名残の9月に」
2020/09/01
COLUMN
【まいにちと花】
長月9月 「名残の9月に」
―日常使いの器に、季節の花を添えて―


::::::::::::花と写真 井出 綾::::::::::::



日が暮れるのも早くなり、夜が長くなる「夜長月」。

9月の声を聞くと、朝晩の涼風に少しホッとする気持ちと、

なんだか寂しい気持ちが入り混じってきます。

子供の頃のように夏の特別な思い出があるわけではなくても、

ひとつ季節が過ぎることにしんみりです。



そうは言ってもまだまだ残暑は厳しい9月、

夏の終わりの草花と秋の入り口の草花で季節の移ろいを感じながら、

もうしばらくは夏の名残を楽しんでみましょう。

次来る秋本番に一歩、一歩、心も体も馴染ませて行くように。


 




暑さが残る9月は、晩夏と初秋、

両方を感じるような花生けで、新涼を楽しんでみましょう。

小振りなガラスの花器二つを並べて、

山ゴボウ、ヤマホロシ、ホトトギスなどを少しずつ挿しました。



お洒落な台座付きのガラスの花器は波打つラインが美しく、

水と通る光にゆらぎを与えてくれます。

小さめの器なら少しの草花でも様になり、

浅黄色のプレイスマットに並べると、

この時期らしい涼やかでニュアンスのある印象に仕上がりました。

 









<ポイント>
山ゴボウのたくさん付いている葉は、軽やかになるように、
大きいものを少し間引くように整理します。
ホトトギスは葉の上で切り分けて、
下の葉の部分を2本交差させ、
花器の口元を小さくするようにベースを作り、
交差したところを花留めにして、花の部分を挿します。
二つの花器の高さがほぼ同じなので、
花生けは高低差を付けて並べるのがポイントです。



リンベースS
●サンデーベースS
●プレイスマットリネン ミント




井出 綾

花手・プランツスタイリスト Bouquet de soleil主宰


フリースタイルのフラワーアレンジメント、ランドスケープデザインを学んだのち

フリーランスで活動。「自然と暮らしをつなぐ花」をコンセプトに、広告、雑誌、web媒体や

イベントなどでの花生け、スタイリングやワークショップ、レッスン、

また植栽プランニングなどを通して暮らしの花を提案している。

http://soleil-net.com/